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5.用語解説


薫習房としては不本意ながら、ブランドを説明しようとするとどうしても“カタカナ”が多くなってしまいます。 主なものだけでも、解説しておきます。

ブランド・モデル
アイデンティティ
アスピレーション
ブランド体系


【ブランド・モデル】


ブランド・モデルとは、[ブランドを確立する上で、送り手が用意すべき‘しくみ’]と定義しています。

例えば「銀座」という地域ブランドは、必ず『銀座モデル』を持っています。日本一の商業地ですから当然、完成度の高いモデルと言ってよいでしょう。そして、かなり“独自性”の高い、他の商業地ではまねのできないモデルになっているはずです。ビジネスモデルにも近い概念ですが、それが“収益モデル”(どうやって儲けるか)に注目しているのとは違い、顧客からどのように高い評価を得、より多くの“贔屓筋”を獲得するか、に注目していると言えます。

『銀座モデル』には、何十年にもわたり贔屓筋の心をつかんで放さない、どこにもない「強み」をどう保ち、満足度の高い価値をどう提供し続けるか、そのしくみの設計図が書かれているはずです。銀座の送り手構成員全員が、そのしくみを共有化し、崩さないように日々努力しているはずです(意識はしていなくとも)。

またブランド・モデルは、完成度が高まると、たった一言に要約しても自然と素直に理解できるようになります。『銀座モデル』ならさしずめ、『すべての一流が揃う“まち”』でしょうか。これを、ブランドコンセプトと言っても構いませんが、薫習房では、“送り手の強い思い”という意味で、【ブランド・アスピレーション】と言っています。

ブランド・アスピレーションを送り手全員で共有できるほど、ブランド・モデルの完成度を高めてようやく、地域ブランドとして受け手に評価してもらえる準備が整う、と理解してください。

地域ブランドは、基本的には、ブランドの送り手が独自に作り上げるものですが、薫習房では、比較的容易に、基礎的なブランド・モデルが構築できるよう「ブランドMESO-モデル」を用意しています。ご活用ください。


【アイデンティティ】そして【アスピレーション】


アイデンティティとは、日本人にとって最も難しい概念のひとつでしょう。人格的同一性とか、歴史的連続性、存在証明という訳語を当てることもあります。

ちまたのブランド解説書では「ブランド・アイデンティティ」を『強い思い』としているものが多いようです。送り手(例えば企業内のブランド戦略チーム)で「あるべき姿」を規定し、それを周知徹底させた状態を指す、という用語です。もちろん、受け手不在である訳ではないですが、そうした書物の読者の捉え方によっては多分に“送り手発想”に偏ると薫習房では心配しています。

薫習房では“ブランドは受け手が創るもの”という主張と整合させるため、アイデンティティという概念と「強い思い」を明確に分けることにしています。

そもそもアイデンティティとは、自者の視点と他者のそれ、二元があって初めて成り立つ概念です。したがって、送り手が自者の視点で捉えた、ブランドに対する「強い思い」を【ブランド・アスピレーション】と呼ぶことにします。

もう一方の視点、他者がブランドを捉えたものがいわゆる【ブランド・イメージ】です。同じものを見ているのですが、この両者は、通 常大きく違っています。認識が違うのです。

認識を一致させ同一性を持たせようというのが「ブランド・マネジメント」ということになります。その結果、ある程度認識が揃ったところで像を結ぶのが【ブランド・アイデンティティ】ということになるのです。

ブランド・アイデンティティを確立させる作業が、ブランド・マネジメントであり、ブランド・アイデンティティが明確に確立されて、パワーブランドが生まれるのです。「思い」だけを送り手で共有化しても、受け手の認識が伴わなければ、パワーブランドになり得ないのは、自明です。


【ブランド体系】


ブランド体系とは、複数のブランドの位置関係を示す、樹形図のような組織構造を言います。

地域(企業)は、通常複数のブランドを持っています。すべてを包み込む最上位 の地域名(企業名)の下には、農業や観光など産業レベルのまとまりが複数あるものですし(事業)、産業レベルの下には各地の特産品(商品)などがぶら下がっているはずです。 さらに特産品も品種に細分されている場合もあるでしょう。その全体像の樹形図を、ブランド体系と呼びます。

ブランド・マネジメントの要諦のひとつは一貫性ですが、個別のブランドと全体ブランドで訴求しているものが違うと、認知が進みませんし知覚品質の低下にもつながります。個別のブランドは他の個別ブランドと共同して、相乗効果をあげられるよう考えなければいけません。

また、ブランド体系の一貫性が高いと、個別ブランドの小さな成功が全体ブランドの認識を高め、全体のブランド力が上がれば下位の個別ブランドがローコストで認知度を高められるという、相乗効果が生まれ好循環がおこります。

地域マネジメントを行う時も、常に、全体ブランド体系を俯瞰しつつ、最適な個別 ブランドを選択、集中して活性化を図るという考え方が必要です。
もちろんここでいう「全体ブランド」とは、最上位 の地域全体のブランドを差しており、受け手からみた用語では、いわゆる「地域イメージ」です。地域イメージとは、地域の全体ブランドと同じことなのです。



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